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現役プロ選手に聞く《前編》:タイヤ

現役プロ選手に聞く《前編》:タイヤ

日本を代表する名門ロードチーム、愛三工業レーシングに所属する岡本 隼 選手と渡邉 歩 選手がインタビューに応えてくれました。お二人は現在、RAW、RYOT44を実戦テスト中で、レースやトレーニングに使用して感じた率直なインプレッションを聞かせてくれています。

でも、インタビュアーとして気になっていたのは、むしろタイヤのこと。保守的なプロロードレースの世界において、新しいテクノロジーが浸透するまでには、結構な時間がかかるのが一般的なのに、愛三工業レーシングチームを率いる別府 匠 監督からのリクエストは、チューブレスレディのホイールだったからです。

<ホイールについては《後編》で>

まずはタイヤから

タイヤセッティングについて教えてください。

(岡本選手:以下、岡)今はコンチネンタルのGP5000S TR 700x28Cを4.8気圧で使っています。

(渡邉選手:以下、歩)冬のトレーニング時は、前のシーズンから持ち越したGP5000 TL 25を5.2気圧、広島では新しいGP5000S TR 25を5.0で使用して、群馬ではGP5000S TR 28を4.6で使いました。

(岡)最初は25を5.1気圧で使っていたんですが、コーナーで寝かせていくと入りすぎちゃう感じがして。RAWのワイドリムには28の方が自然で安心感があります。

(歩)タイヤに関しては、自チームがGP5000S TRを使用できるのでこれ一択。他のタイヤの選択肢は無くなりました。パンクのリスク、インストールの簡単さ、運用の楽さ、乗り心地。全てにおいて他の選択肢を超えてきます。
これを最適化して使えるホイールを探すレベルでこのタイヤは良いです。

 RYOT 44にコンチネンタルのGP5000S TRを組み合わせる

チューブレスですよね?

(岡)しなやかさや、扱いやすさでは最新のチューブレスの方が良いと思います。重量がハンデになる場合には、リムハイトを抑えることでカバーできます。固いと進まないので、クリンチャーなら普通のチューブよりはラテックスが良いですね。

(歩)パンクのリスクを減らせるので圧倒的に優位に立てます。
国内プロトンではまだ主流とは言えない状況ですが、これを使えるだけでも優位に立てると思っています。
トレーニングでもレースと同じ機材でトレーニングしたいです。タイヤを分ける手間より機材管理が楽で、より安全にサイクリングできるので。
クリンチャーだと下りでパンクした場合、運が良くないと大怪我につながります。そのリスクを減らせるだけでも常に使用したいと思っています。

つい最近まで、レースは25、ロングライドなら28みたいな感じが常識だったような気がしますが、太いタイヤを使うことに気持ち的な抵抗はありませんでしたか?

(歩)私は32Cまで使用可能、チューブレス最強、という宗教に加入しています(笑)。というのも、U23時代は30Cのチューブラーコルサを自費購入しクラシックレースを走っていたからです。
その時点で太いタイヤの転がりの良さを知っていたので、使用に対する抵抗はありませんでした。

一番右側が岡本隼選手、奥の白いキャップ姿が渡邉歩選手

(岡)25と比べると28は重いですが、明らかに転がり抵抗が減っているのを感じます。平坦ならむしろ28の方が良いです。しなやかでありながら抵抗がないっていうか、路面の荒れが気にならずにパワーに繋がる感じがするんです。
自分は自動車も好きなのですが、サスに例えると伸び側のストロークを増やした状態に似ていて、単に振動吸収が良いというだけでなく、28cの方が常に地面に接地しようとしているのが伝わってきます。

(歩)国内でしたら、群馬より路面が荒れている状況なら30Cを使うことも考えます。
自分は28Cがデフォルトだと思っているので、太さに抵抗はないです。トラックやバンクのように綺麗な路面であれば走行抵抗になるかもしれませんが、しなやかさと乗り心地の良さ、コーナーでの挙動に余裕をもって対処できます。

タイヤの空気圧はどうやって決めてますか?

(岡)チューブレスの場合は5.5気圧からスタートして、0.1ずつ下げて行きます。段差が気にならなくなって、でも重くないところに決めていくと、だいたい5気圧前後に落ち着く感じです。

(歩)自分も5.5気圧からスタートさせてしばらく走行して止まったところで空気圧を下げ、帰宅後に測ります。25Cで5気圧が指標になりました。
28Cの場合は同じ空気圧でも硬く感じられたので、更に空気圧を下げて4.6気圧で落ち着きました。コーナリング感も変わるのでまだまだ手探りの段階です。

 <チューブレスタイヤについて詳しく読みたい方にはこちらがおすすめ>
「チューブレスのメリット」

「現役プロ選手に聞く《後編》:ホイール」へ続く