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プロチーム監督に聞く:ヒルクライム直前対策

プロチーム監督に聞く:ヒルクライム直前対策

現役時代は名クライマーとして知られ、富士ヒルクライムでは58分35秒という記録を持つ、愛三工業レーシングチームの別府 匠 監督に、ヒルクライム直前対策についてお聞きしました。

別府監督が2007年に樹立した記録は、2016年まで一度も破られることはなく、現在(2022年大会開催前)も招待選手最高記録として残っています。機材の進歩を考えると、驚異的です。

「ヒルクライムは頑張らず、感覚ではなく考えて走れば楽しくなる。」

富士ヒルクライム直前の木曜日です。今からできることってありますか?

まず、今から強くなろう、マイナスをプラスにしようとして必死にトレーニングをすると疲労を溜めてしまい、本番で走れなくなって逆効果です。トレーニングは疲労を溜めないように強度は低めで、神経を鈍らせないようにペダルを回して筋肉の神経がペダリングの意識を忘れないようにすることを心がけて、ペダルを力強く踏むのは本番までとっておきましょう。

さすがに残り数日で強くなろうとするのは無理ですか…

プラスしようというよりも、マイナスにならないようにしようと考えることがテーマですね。

ステムに選手のためのメモを貼る別府匠監督
 選手のバイクにスプリントポイントやKOMまでの距離を記したメモを貼り付ける別府監督

トレーニング以外のアドバイスはありますか? 例えば食事とか。

前々日、前日の食事は常に6〜7分目にして、お腹いっぱいの感覚がないようにしましょう。一度お腹いっぱいを感じてしまうと内臓が疲れてしまい、食事のコントロールが難しくなります。

6〜7分目では、すぐにお腹が空きそうですが…

トレーニングやレース中に空腹を感じてしまいそうならば、スタート前に食べるのは避けて、乗ってる最中に消化の良いものを摂るようにしましょう。ヒルクライムなので、レース中はジェルやジャムなどの流動食が持ち運びも軽くて良いと思います。

朝メシは、外しちゃいけない基本だと思ってました。

富士ヒルクライムはスタートが朝早いので、空腹を感じなければ朝食は取らずに、レース中のジェルだけでも良いと思います。レース前に甘いものを食べると血糖値が急激に上がり、レース中に下がってきてインスリンショックになる可能性もあります。あと、朝食を食べる場合は、サラダ・焼き魚・海藻は消化せずに戻ってくる可能性があるのでやめておいた方が良いです。

ホテルの和定食には全部入ってますね(笑)。まぁ、朝食の営業時間より前に出発する方が多いのかな? 私の場合は起きられなくて、どっちにしても食べる時間がないパターンなんですが…

睡眠は大切なのでしっかり取っておきましょう。前日のアルコールやカフェインは厳禁です。

(ギクっ…)

朝コーヒーを飲んで目を覚そうと思うかもしれませんが、朝コーヒーを飲んだらカフェインも効果がレース中に切れます。レース中に切れたカフェインをつなげるカフェイン入りの補給食を持っていれば良いですが、無いなら初めから摂らない方が良いです。

(ドキっ…)

あと、レースだからといって、栄養ドリンクやコーヒーを多量に飲んで目がギンギンした状態でスタートしようと思う人もいるかもしれませんが、カフェインで我を忘れて、普段トレーニングで行ってきたことや、レースに備えて「これをやろう」と思っていたことを忘れてしまうほど冷静さを欠いてしまう可能性があるので、よりレースを楽しむためにも、レース前にカフェインをとることはあまりお勧めしません。

なるほど、ギンギンは逆効果なんですね(笑)。レース中はどうですか?

いつも言っていることですが、ヒルクライムはマラソンと一緒で、自分のペースが非常に大事です。上り勾配の変化があるので、スタートからフィニッシュまでを一本の直線として意識して、インターバルを意識します。周りが速いから・遅いからと自分のペースを乱してしまうと、その後に地獄が待っています(笑)。
常に余裕を持って7〜8割くらいの力で走り、勾配の変化に対応してリズミカルに走ることをお勧めします。そして、ラスト1kmを全力で走りきれるくらい力を残しておくことが重要です。自分の時はラスト3km全開でした!

そこが別格なのか!でも、とても勉強になりました。
急なお願いにもかかわらず、ご協力ありがとうございます。招待選手として走る草場選手、中川選手の健闘を祈ってます。